月別アーカイブ: 2012年3月

The Artist -無声映画の魅力

I’m not a puppet, I’m an artist.

久々に映画館に行って観た映画が大当たりだったのでこれを書かずにはおれない。
フランス発の無声白黒映画と聞いて、なんだか小難しい抽象的な話だったらいやだなと思ったのだがとてもわかりやすい、心が温まる映画でした。
アカデミー賞で5冠を獲り、「仏映画史上最多の賞を獲得した」というニュースも全く知らなかったが、これほど褒め称えられるというのは観ればわかります。
(トレイラーはなんだかタップダンスの映画みたいだけど、そういうわけでもない)

私はかろうじて白黒映画を観たことがあるだけで一回も無声映画は観たことはないけれど、この映画は無声映画だけが伝えられるものが確かにあるよと証明しているような気がする。技術的に劣ってしまっている点では同じだけど、いまや誰も使う人はいないポケベルではなく、今も愛好家がいる二眼レフのような存在というか。

主演俳優はフランス人なのだが、チャーミングな笑顔で裏表がなく誰にでもきさくな大スターといういそうでいなさそうなタイプがものすごくうまかった。この彼は商売柄笑顔は大得意なんだけど、スタッフ・共演者に向ける人当たりのいい笑顔、絶望のどん底にあるときの笑顔とみじめさに打ちのめされたときの笑顔、そしてたった一回だけ見せる泣き笑いの笑顔が見事にばらばらで、あほみたいな感想だけど役者ってすごいなー。
アカデミー賞主演男優賞初のフランス人俳優だそうです。

私は知らなかったのだが無声映画というのは無音なのではなく、ただ人の声だけが聞こえない映画だ。俳優がしゃべる口パクの動きの後にセリフが黒背景に白い文字で字幕のように出て、背景にインスツルメンタルの音楽がずっとかかっている、という感じ。
ある場面でそれまでかかっていた音楽もなり止みシーーーーーンとする箇所があるのだけど、そのときは身じろぎも忘れて引き込まれてしまった。このときの感覚と比べると、今の映画はBGMに爆発音に金切り声、と音にあふれていると実感する。音量が大きい方が心に届くとは限らないし、声が大きい人の方に人が集まるとは限らないんだね。

続きはネタばれ含むグダグダ
(さらに…)

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