英語

“Sarcasm”と”Irony”の違い

ゴールデングローブ賞の授賞式で司会を務めたイギリス人コメディアンのジョークが全然笑えなかったり、二重被爆者をネタにするTV番組が放映されたりと、最近何かと口の端に上るイギリスのユーモアセンス。

同じ英語圏でもアメリカ人とはメンタル面で全く違う人たちなのだな、というのがようやくここ一年実感としてわかってきた。アメリカ人のESLの先生などはよく”British are sarcastic.”と言っていたが、sarcasticは「嫌味な」「口の悪い」という意味で、渡米してから知った英語の中の一つ。これを私は日本語で「皮肉屋」だと変換していた。
が、前学期の英作文(English Composition)の授業で、たまたまこのsarcasm「当て擦り」とirony「皮肉」の違いが出てきて、この二つが重なるところもあるものの、全く別物だということが分かったので、その違いについて書いてみる。

分かる人はあっさり違いが分かるんだろうが、アジア系のクラスメイトがみな頭に「?」を乗せていたし、分かりにくいよなーと思ったので。

英辞郎を見ると、それぞれの意味は以下の通り。

  1. sarcasm【sɑ́ː(r)kæ̀zm】[名]嫌み、嘲り、当てこすり、皮肉
  2. irony【ái(ə)r(ə)ni】】[名]皮肉、反語、アイロニー、成り行き、当てこすり、風刺、奇遇

このように、重複している言葉で説明されていはいるのだが、これらは全く同じ意味では無い。ややこしいのは、ある状況がsarcasmであるけどironyではない場合もあれば、逆の場合もあり、どちらにも当てはまる場合もあるということだ。

(さらに…)

げっぷと英語の意外な関係

発音を気にし始めて数日、自分がこんな本を持ってたのに気付きました。

  

 
 
 
 
 
 

 
おお、買ったきり全く手をつけてなかったのにこんなときに出てくるなんて福音。読んでみようじゃないか…と30分、発音以外の話題がないのであっさり読了。
姉妹本の公式サイトに要旨がまとめられています。
英語喉(のど)オフィシャルサイト

 日本語は音を短くするために喉を緊張して話す口発音、英語は喉をゆったりさせ、開けたまま話す喉発音

なるほど、日本語と英語とは音を出す場所がそもそも違うと。
確かに日本語は舌をあまり動かさない言語だねってアメリカ人の日本語学習者に言われたことがある。舌を自然の場所に置いてあまり動かさずに発音すると日本人っぽく聞こえるとを発見したと。アメリカ人はそれでいいけど、今まで舌を使ってこなかった側の私は舌の使い方(特にR)に辟易してるのよ…。

しかし舌の使い方ではなく、喉から出す音という方法は新しい。
本書ではその喉発音をする場所を「げっぷエリア」(首の根元の発音エリア)「あくびエリア」(あくびをするとき動く、首の上の発音点)と説明しており、

英語の音の一番大切な部分は口で響く細かい音ではなく、首の中で響く音です。喉から沸き起こる、深めの音に耳を傾ければ、英語のどんな音でもリアルに聞くことができます。

と言い切っている。
添付のCDがどこかに行ってしまってるので(ダメな人)まだ「あくびエリア」「げっぷエリア」の発音を聞いてないけれど、なんでも喉発音の言語のネイティブはげっぷでしゃべることも可能らしい。

これはコラムに書いてあったのだが、げっぷをしながらアルファベットをどこまで言えるかというのは、飲み会で人気な一発芸の一つらしく、探すと動画が色々が出てきた。
比較的キレイな動画を探してきたつもりだけどあくまでげっぷの話なのであまり上品なものではないですよと一応忠告。


こ、これは…。。できる気がぜんぜんしません!技術的にもメンタル的にも。
(こんな芸を飲み会でやったらまさに「ハイリスク・ノーリターンby江頭2:50」だよ…。)

ど、どうやって息をもたせてるのか?そもそもなんでげっぷがそんなに連発できる?
という疑問には答えがあって、なんでも彼らは喉を常に開いたままにしているため、食べ物や飲み物を飲み込むときに空気がずっと多く胃に入りこむらしい。そしてそれがこのようなパワフルなげっぷを生むということ。

げっぷburpの存在は英語圏では意外に大きいようで、World Burping Champion(世界げっぷ王者)という方(イギリス人)はげっぷでもって108dB(デシベル)の音量を出すことができるそうです。ちなみに110dBで車のクラクション。そ、そんなに大きな音が出るのか…。恐るべし喉発音。

と、盛大に話が反れましたが、喉発音に関係してげっぷで名声を得ることも可能ですよという落ちでした。

R音との闘い

タンデムのJohnさんにお願いして最近集中してるのが英語の発音、特にRの練習。
帰国子女の何が羨ましいって、子供の時に自然に発音を身につけられるのが羨ましい。私なぞ自分の名前がRから始まるのがほとほと嫌になるほど昔からRが天敵だった。
とはいえこれから数年いるこの土地の言葉にいつまで経っても苦手意識を持っていても仕方がないということで、今回かわいそうなJohnさんは私の
hurt [hə́ː(r)t]
heart [hɑ́ː(r)t]
の聞き分けを何十回も聞くことになりました。

で、これが笑えるほど違いが分からないのです。(Google Translaterで音声を聞いてみる)
Johnさんは元々南部の人ではないので、この辺りの特徴であるこもりがちな英語ではないにも関わらず、見本としてhurtとheartを何度も発音してもらっても私にはほとんど違いが分からない。ところがどうも彼の耳には明らかに聞こえてる音らしく、なぜこれほど明らかな違いを私が拾えないのか自体がよく分からないみたいなのです。
Johnさんには鮮やかに見えてる色が私にはうっすらとしか見えないという、ファンタジーみたいな主観のギャップ。顔を見合わせて唖然としていると思わず笑いもこみ上げてきます。
Johnさんが言うには、skirt, shirtのようなERの音ができないから違いが分からないのではということで、こんなリンクを教えてくれました。

A collection of approaches to the “R” sound.
アメリカ人の子供の中でもRの習得に苦労する子が多いようで、これはそのためのテラピストによる専門的な訓練方法の一覧です。

  • (子供に)Lの音を出させながらRの音になるまで顎をゆっくり下に引っ張る
  • Lの音を出させながら、舌圧子(風邪ひくと医者が咽喉を見るときに使うあれです)で舌の先を歯蓋の方まで押し込む
  • 虎のうなり声(grrrrグルルル)やおんどり(errr←よく分からない)、トラック(errrrnルーン←たぶんエンジンをかけるときの音)を真似させる
  • Rの音を出させながら、子供の顎下から親指で押し上げる

うーん、顎を引っ張られたり下から押されたりとネイティブの子も苦労するのね…。
私は虎だとかトラックの擬音を使って練習するやり方で唸ってます。(それにしても(ER-er-ER-er-ERRRRR)と表されてるおんどりの鳴き声はよくわからない。)

最近なんでもyoutubeで検索する癖がついていて、こんな動画も見つけました。

プロの英語教師によるアメリカ英語のRの解説です。
これを見て初めてイギリス英語との違いが具体的に分かった私。アメリカ英語はRをしっかり発音して、イギリス英語はしないらしい。確かにイギリスに留学していた友達が「アメリカ英語はレロレロ言ってるから美しくない」と言っていたなあ。
私としてはあまりにきつい訛りは通じにくくて意思疎通ができないという理由でどうかと思うけど、ツールとしての言語に上も下も無いです。イギリスの階級社会で生きることになったら考えるけど、たぶんそれはない。

ただ、今アメリカに住んでいるのでここの標準に近い英語を話したいという気持ちはものすごくあります。何度も聞き返されるのはやっぱり嫌ですし。何も単語レベルで使い分けができてなくても文脈で通じるよ、とは言われたんですけどここはいい機会と思って当分Rとの格闘は続きます。

アメリカ人のよく使うスラング

タンデムになったJohnさんが自分がよく使うスラングをリストにしてくれた。
アメリカ人と話していて、聞き取った単語を全部知っているのにも関わらず全体の意味がわからず「?」となる場合、慣用句であることが多い。

  • About time
    ①誰かと一緒に座っていて、「もう行くよ」と立つときに。②レストランで注文した品が来るまでかなり待った場合、(やっと来たよ)というニュアンスで。
  • fuel to the fire
    「火に油を注ぐ」まんま。Don’t add fuel to the fire!
  • insult to injury
    嫌な状況を更に悪化させること。
  • all set
    「準備できた?」と聞かれて「I’m all set!」準備万端だよ!
  • up to no good
    「あんたの旦那が女といるのを酒場で見たよ。怪しいんじゃないの?He is up to no good!」良からぬことを考えてる
  • beat around the bush
    (話を濁して肝心なことを言い出さない相手に対して)「Don’t beat around the bush!」遠まわしに言うのはやめて!
  • get something straight
    「今日はAちゃんに会って~カフェに行って~シカゴに行った話をして~仕事も落ち着いたみたいで~、だから、get something straight, 今度あなたも一緒に会わないかって。」つまり、要するに
  • a close call
    (ゲーセンから出てくる少年二人)「おい、今入って行ったの生活指導の和田じゃないの」「マジで?That was a close call.」危ないところだった。危機一髪だった。
    由来は野球の試合で、アンパイアがきわどい球を判断する「call」からきているそうだ。
  • In bad taste
    (カフェでいちゃいちゃしているカップルを冷たい視線で見つめつつ)「見てあの人たち。They are in bad taste.」相応しい振る舞いをしていない人に対して。
  • keep a low profile
    目立たないように。目をつけられないように。
  • knock on wood
    「テストに受かればいいけど。knock on wood.(グーで側のものを叩きながら)」木をたたくと悪を払い除くことができる、という迷信から生まれた表現。
  • know inside out
    「AKB48のことなら任せてよ。I know AKB48 inside out.」知悉している。
  • money talks
    口ばっかりで実績の無い人に対して突っ込み「その販売計画は本当に実現可能なの?Money talks.」
  • cut to the chase
    (二人の会話)「それで…(ぺらぺら)結局…(ぺらぺら)そしたら…(ぺらぺら)」「それで、結局どうなったの?Cut to the chase!」チェース(追跡)というのはアクション映画の一番のクライマックス。そこまでの過程はカットしていいところを教えてよ、という意味。

個人的に気に行ったのは迷信から生まれた表現だというknock on wood。UKではtouch woodというらしいが、Wikipediaによると中東から北欧まで世界各国幅広くこの悪運除けの概念と表現が存在するらしい。似たような迷信が隔たった場所にあり、それぞれの言語の表現がある。言葉って本当におもしろいと思う。

How are you?の答え方

登録したのも忘れていたLanguage Exchange Partner(言語交換パートナー)のサイトを通じて、アメリカ人のパートナーができた。
言語交換パートナーというのは、定期的に会ってお互いの言語を教え合うという相手で、お互いに相手の言語を習いたいというコンセンサスがある以外は普通の友達とあまり変わらない。
ドイツの大学ではJapanologie(日本学)の学部があったりすると日本語を勉強したい学生がひきもきらないので、私がいた当時日本人留学生は少なくとも1人、多い人は3人のパートナーがいた。ドイツではそういう相手を「タンデムパートナー」と呼んでいた。言語交換というといかにも不器用な訳のままなので「タンデム」の方が私は好きだな。
メリットは何かというと、非常に少ないながら私にもアメリカ人の友人がぽつぽつ出来始めたけれども改めて色々なことを聞く機会があまりないので、「なんでも聞き合える」というしっかりとした前提があるタンデムはお互いすごく便利。

新しくできたタンデムは日本語始めて数カ月のJohn、自営業。
ついこの間日本旅行から帰ってきたばかりの熱がまだ冷めていない様子で、いかに日本が好きかということを興奮気味に語ってくれた。

前置きが長くなったけれども、そんなJohnさんに最初に聞いたのは、最近つくづく「How are you?」に対する自分の返答が99%「I’m good」なのに飽きていたので他にどういう言い方があるか?ということ。
返ってきた答えがこちら。

Good, Yourself
Can’t Complain
Not bad, You?
Good Good, Thanks
I’m doing well, you?
Couldn’t be better, Thanks
I’m ok, How ‘bout you (no “a” in about)…bout
Hanging in there

「Can’t Complain」(文句は言えない状況だよ)はなんかこうちょっとかっこいいね。マンネリ脱出だ!
加えて、

Like most greetings people really don’t care about how your doing…so don’t complain unless its a friend.Most people don’t want to have deep conversation about how your doing. They don’t care.

あいさつが大抵そうなように、人は相手がどんな調子なのかは気にしない…だから友達でない限り愚痴らない方がいい。普通みんなそれほど深い会話をしようと思ってない。気にしてない。

とのこと。うーむ「気にしてない」と言われるとちょっとさみしいけど…。そりゃいきなり重い話をされても困るか。