5人目のスピーカーはシカゴにある建設業者グループであるThe Will Group創始者のStephen Davisさん。
ここにきて初のアフリカン・アメリカ人です。
The Will Groupとは、照明・電気配線・電線材料(たぶん購買専門)・デザイン・給食サービスなど系7つの専門化された会社が含まれたグループ企業で、個々の会社の事業とは別にグループ全体で建設資材・サプライチェーンマネージメント(SCM)・総合的建設管理(CM)・プロジェクトマネジメントなどの事業を行っている。
主な実績は学校、アパートメント、有料道路の料金所などで、Kennedy-King Collegeでのプロジェクトは2007年の中西部ベスト建設賞を受賞している。
また、Davis氏ははABLEというアフリカンアメリカンのビジネスリーダー・アントレプレナーの促進NPOの重役の一人でもある。ネットワーキングの団体でアフリカンアメリカンに特化した組織は全米で唯一とのこと。
サイトを見てみると、メンバーにはアフリカンアメリカンの髪質をターゲットにしたヘアケアの会社があったりして面白いと思った。ニッチマーケットですな。(あれ、アジア人の髪質のがニッチ?)
氏は非常に体格が良く大柄で、胸板でサッカーボール潰せるんじゃないかというくらいがっちりしてました。話では生い立ちから今までの軌跡といういつもの流れだったが、自身が(アフリカンアメリカンという)マイノリティーであるという意識してビジネスをしているということをすごく強く感じました。
- UT(テネシー大学)でフットボールの選手だった。→余談だがアメリカでのフットボール人気はすごい。UTのチームカラーはオレンジなので、試合のシーズン中はショッピングモールがオレンジ色のTシャツで一杯に。みんな着る。
- Jack WelchがCEO時代のGEでエンジニアとしてキャリアを積む。”great CEO.”
- その後の1984年独立し事業を立ち上げるがパートナーと方向性が合わず解散。”Choosing a partner is important.”
- Will GroupのWillは父親から名付けた。非常に尊敬している。会社と家が近所にあるため子供の送り迎えはもちろん、家族との時間を最も大切にしている。
- “起業精神はハートにある。血に流れている”
- 最近チャリティー団体を立ち上げた。William & Mary Foundation
- マイノリティーにとって資本主義はよいものだけど、完璧ではない。
- 最初からマイノリティーとしてビジネスを始めるな。起業してからその強みを使えばいい。”Never start as minority business.”
彼がパワーポイントで使った画像が印象的だったので、似たようなものを探してきたのが右の写真。見たとおり、あからさまに不公平な試合場だ。
これを見せることによって彼は、
“Life is not fair, but business is flat.”人生はこのように不公平なものだけど、ビジネスはフラットなもの。
というメッセージを伝えようとしていた。
Minority businessという言葉がよく出てきたが、マイノリティーとは、アメリカで言えばアジア人、アフリカンアメリカン、ヒスパニックなど少数派のグループによるビジネスのこと。広い意味では女性や学生の起業家もマイノリティーになる。
「最初からマイノリティーを押し出して起業するな」というメッセージは深い。少数派は少数派でメリットもたくさんあって、視点が独特で機会を見つけるのに長けているだろうし、またABLEのようなNGOからサポートがもらえて、何より目立つ。でもその強みありきでスタートすると後に躓く、というのは理解に難くない…。
大都市シカゴで精力的に自分の会社、チャリティー団体、家族にエネルギーを分散して「全てを持っている」ビジネスマンでした。