月別アーカイブ: 2010年10月

youtubeで習うスペイン語

私が学生の頃には到底考えられなかった風景です。
先生が授業中見せてくれたSr.Mara(セニョール・マラ)のスペイン語講座。

文法「再帰動詞」についてのこのビデオ、音楽と替え歌に合わせて踊りながら解説(?)するマラ先生…た、楽しそう!一般人とは思えない体の動かし方はさすがアメリカ人。このノリは生まれつき?
語学の教材というと、シリアスで面白みが無いというイメージがなかなか取れないですが、セニョール・マラの一連のビデオ(彼のチャンネルのリンクはこちら)はスペイン語を学ぶ人々、スペイン語教師から賞賛のコメントが寄せられています。確かにこれほど記憶に訴えるものはない…。間違い無く音楽の才能もありますよねこの人。

私が大学で語学を専攻していたときには既にyoutubeはあったけれども、教材として使うという発想は先生にも生徒にもありませんでした。先生の年齢層が高かったというのも、教科書と辞書が主役という伝統的な教授法ばかりだった理由のひとつかもしれない。(しかし発音の権威だった60近い先生の授業で、Journalistinという単語の練習だけで2時間費したこともあった。あの授業はどうかと思うよ…)

スペイン語の先生は33歳のアメリカ人なので、おもしろいと思ったものをすぐ使うこの柔軟さは若さも関係あるのかも。学生の興味を引き付けられるように先生も努力してるところがあります。
こちらも授業中に紹介されたビデオでプエルトリコ出身の歌手、Daddy Yankee。南アメリカの橙色の熱気を感じるPVです。国際的にも成功しているヒスパニック系の大物歌手だそう。

木炭で描く

絵の授業は黙々と進行しており、鉛筆から木炭絵になってから3週間経った。
高校時代美術部だったにも関わらず、木炭で描くのはここにきて初めての体験。始める前は新しい素材にわくわくしていたけど、蓋を開けてみたらその扱いにくさにびっくりした。

まず固い。
形はチョークのようで、細長い長方形をしているのだが、少し角をカッターで削ってから画用紙に擦りつけないと爪でひっかいた後のような窪みが紙に付いてしまうので厄介。この窪みはなぞっても中々黒で埋まらない。
そして木炭はなかなか消しゴムで消えない。
薄くはなるけれども、完全には消えない。
そう思うと鉛筆はコントロールしやすかった。2B、4B、6Bと固さは自由に選べたし、消しゴムで消えない線はない、とても扱いやすかった。

とはいえ数枚静物画を描いている内に徐々におもしろいなと思い始めた。木炭は失敗のリスクが大きいけれども思い切って強い線を引いた時のインパクトが鉛筆の比ではないのがおもしろい。
鉛筆でしつこいほどやった明度の練習を木炭でも。

Charcoal drawing
正直これは飽きました。(画像はクリックで拡大)

そして今はNegative Drawingという画法をやっている。これは何も「否定的な画法」というわけではなく、モデルとなるモノ以外のものを塗るというやり方。Googleさんに聞くとこんな感じ。おもしろいでしょう。鉛筆には無理で木炭だけが出せる限りなく濃い黒によって対象の輪郭を浮き立たすことができるのだ。

Negative drawing英辞郎によるとNegativeは「1.否定の 2.拒否の 3.悪い」というおなじみの意味だけどこれは形容詞として使われた場合で、名詞としては最初に「[写真の]ネガ、陰画」という意味だった。
フォーク難しい…。

 
直近の課題で、これもNegative Drawingの一つとしてEraser Drawing(”消しゴム画法”?かな)というのをやったのだが、これが楽しいのなんの。まず木炭で紙一面を塗りつぶして、そこに明度の濃淡を消しゴム・木炭で足していくやりかた。

dogこれが初めて書いたEraser Drawing。雑誌から適当に選んだ写真。この毛並みは割と描き(消し)やすかった。ふさふさのシェパードじゃなくてよかった。

2nd Pitch -ビジネスプランの発表

先週授業でビジネスプランの発表があった。
アイディアは先月エレベーターピッチで発表したものと同じもの。エレベーターで投資家の興味を得ることに成功したのでその後また詳しい話をする、という設定で今度聴くのは先生だけ。前回は私が発表したので、今回のプレゼンターはチームメンバーのノルウェー人とアメリカ人の男子になった。

本来4人のチームなのに、前回の発表ではノルウェー人Yがスポーツの遠征で全くコミットしなかったので、今回も全く期待してなかったのだが、意外や意外、よく働く頭とお口をお持ちでした…。のび太と思ったら出来杉くんだったみたいな。それにしても北欧の人たちは概して英語が達者で羨ましい。

私たちのビジネスプランは「イメージコンサルティングonキャンパス」ということで、学生にターゲットを絞った低価格短時間のイメージコンサルタントのサービスの提供。

イメージ・コンサルティングというのは、日本でもかなり認知されてきている職業で、周囲から見られたいイメージを外見・内面問わずマネジメントする手助けをする、というお仕事。要はイメージアップのプロで、かのヒラリー・クリントンもイメコンを雇ったことによって服装・メイクが劇的に改善され、好感度を大幅に上げた。

とはいえ一般的にイメージコンサルタントを雇うと相場は1時間$250に上り、かなりエグゼクティブ向けなのが普通。そこでもっと安く気軽にイメージアップができるように、コンサルタントに美容学校の学生をリクルートすることによって価格破壊させようというのがもともとのアイディアだった。

しかし話している内に

  • 資格もない学生がコンサルテーションできるのか。

の1点がネックになり、

  • コンサルタントはAICI(Association of Image Consultants Internationalという国際資格)保持者

ということになった。個人的には修行中の学生が経験を得るための場所にならないかなーと思っていたので残念な変更。

また、主な事業に新入社員向けのマナー教育を加えた。これはアメリカ企業向けで、マナーの欠如や習慣の違いによってビジネスチャンスを逃さないための研修。もう一人のチームメイトがタイ人だったので、日本の他に中国やASEAN諸国と欧米企業のギャップを埋めますという感じでアピールした。
イメージを売り物にする人たちらしく、白の襟付きで服を揃えたりするなど小さなところで点数アップを狙う。見込み利益や必要な資本、価格設定の計算はまだまだ甘かったけれど、教授の評価はよかったのでほっとした。

こちらはタイ人Jが作ってくれたロゴ。

企業名はUnimage。
ユニメッジ。
University + Image を足しただけ。

名前を考えてみんなでうーんうーんと唸っている中、案の殴り書きからビビっと思いついて「ユニメッジ!」と叫んだらテンションが伝染してJもYも「それいいよ!」「完璧よ!」「これしかない!」と盛り上がったので一気に決まった。4回集まった中でたぶんここが一番盛り上がった場所だった。

また一か月後に、更に案を詰めた内容での発表があり、それが最後だ。

スペイン語学習1カ月半の成果

ただの学習記録なのに「教養・知識」というご大層なカテゴリですみません。
早くも学期の半分が過ぎ、どの授業でも前半のまとめテストのシーズンだったらしく周りの学生さんも忙しそうでした。顔が土気色の人が多かった。
習い始めて1カ月半のスペイン語、成果はこんなかんじです。

  • 自己紹介ができるようになった(名前、年齢、国籍、職業)
  • 数が数えられるようになった
  • ~人という語彙を覚えた(アメリカ人、メキシコ人、ベネズエラ人、パラグアイ人、ドイツ人、日本人など)
  • 基本的な職業の語彙を覚えた(ビジネスマン、女優、エンジニア、学生、主婦、弁護士など)
  • 動詞によって変化する規則動詞の活用を覚えた
  • 「これから~をする予定:ir a 不定詞」「これから~をしなくてはいけない:tengo que 不定詞」という表現を覚えた
  • 町にある主な施設の語彙を覚えた(病院、銀行、図書館、学校、スーパー)

今日近くにベネズエラ人がいたので、迷惑を顧みず知ってることを全て注ぎ込んで話しかけてみました。
英語ができる人なのですぐにスイッチされたけど半ば強引にスペイン語に戻す。わー、スペイン語を習い始めてから初めて公式に話した…。

ドヘタでも実際に話してみると、普段授業を受けていてテストだクイズだ宿題だと受け身で課題をやっているだけだと出てこない、「○○てスペイン語で何て言うの?」という語学習得のとき必ず必要なモチベーション(動機付け)が出てくるのを感じてうれしい。

あと最近感心したのは、会話を録音して提出という課題。専用のレコーダー機は要らず、オンライン学習サイトについている機能を使ってPC上で全てできる。こうなると嫌でも数分スペイン語を話さなければいけない。
この教科書はやたら高かったのだが、このような高機能なオンラインサイトを使うためのシリアルナンバーが必要なためだ。サイトの充実度を見ているとこれでも安い気がする…。
私も語学は大学でも専攻したけれどこういう学習ツールは初めて。Webを使った教材はどうもピンキリのキリばかり目についてきたが、フリーで教材を置いて放置プレイよりもこうやって囲い込んで双方向で学ばせる方がずっと効果あるのかもしれない。

日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で -まとめと感想

2年も前に出版された本だが、ようやく読み終わったのでまとめと感想。

 

 
 
 
 

 

ここ数年の勉強ブームの一端を担ったのが日本企業における英語の需要増加だが、誰もが英語を勉強しようとしている風潮の中からこの題名「日本語が亡びるとき」を見てドキっとしたのは私だけではないはず。
著者の水村美苗は私のここ5年の読書の中で一冊を選ぶとしたらこれ、という程衝撃を受けた「本格小説」を書いた作家であったので、前々からこの「日本語が~」は持ってはいたのだが(私にとって)あまりにも考察が深すぎて、読み通して理解そして咀嚼するのに数カ月かかってしまった。しっかり理解しているかどうかも疑わしいが、なるほど要するにこういうことを言いたいのね、ということは掴んだと思う。なので、この場を借りて内容のまとめを試みることにした。

この本のメッセージを一言で言うと、
“日本語の書き言葉の劣化によって、日本文学が亡びつつある”
ということだと思う。

つまり、「日本の至宝である近代文学(逆にいえば、今の文学界は荒野と筆者は言っている)を生み出してきたという過去にも関わらず、いかに日本語の書き言葉そして文学がインターネットの登場による英語へ転換の中で危機に瀕しているか」ということ。

彼女はそれを、自身の個人的な在米経験、世界中の作家たちとの交流の体験、世界的に評価を得た日本文学とそれを輝きせしめた日本語の成り立ち、そしていかに話し言葉にすぎなかった俗語がナショナリズムの呼び水たりえたかなどの点から考察しており、また自身で言語の種類を定義することによっても説明を試みている。
以下はこの本で重要な言語の概念。言語は3つに分けられる。

<普遍語>…その辺り一帯を覆う古からある偉大な文明の言葉。例えば文明開化以前の日本での漢文、かつてのラテン語、そして今の世界での英語。
<現地語>…人々が巷で使う言語。俗語。多くの場合、母語。例えば平安時代のひらがなや、近代以前のヨーロッパのほとんどの言語。
<国語>…<普遍語>で説明された概念の<現地語>への翻訳を通じ、<現地語>が昇格した言語。この昇格によって<普遍語>と同じ機能を果たすようになった言語。母語のもつ長所を生かしきることができる。

関係を図にしてみた。

しかし、グーテンベルグの印刷機の発明によって大量印刷が可能になったことによって、それまで話し言葉にすぎなかった各地の言語が書き言葉となり書物として流通、その流れがナショナリズムに大きく貢献することになる。<現地語>であったドイツ語、フランス語、オランダ語などが地域別に何百万の人々によって共有することによって<国語>になった。

そして、今、インターネットによって、学問の言語が英語へ一極化する傾向がより加速化した。水村の言う危機とは、このままでは<国語>が<現地語>へ降格し、つまり国民文学が消滅してしまう、というものだ。

なぜ水村はこのような危機を感じているのか。それは、より多くの知識・知恵を求める人ほど普遍語としての英語に惹かれていくのが自然の流れであるからだ。

<叡智を求める>という行為は、究極的には、目的を問わずに、人間が人間であるがゆえの行為にほかならない(p.187)

からだ。
水村が一貫して繰り返すのは、「母語ゆえに伝わるもの」「翻訳によって伝えられないもの」の消滅の危機である。この危機を切り抜けるため、現在の学校教育へのいくつかの提言をしてこの本は終わる。

(さらに…)

Value(明度)の練習

8月末から12月初旬までの秋学期ですが、ようやく「秋」らしくなってきました。正確に言うと「あれ?秋抜かしてない?」という位の肌寒さです。
数年住んでる人の話だと、いつも急激に気温が落ちるということ。着るものに困るこの頃です。とはいえアメリカ人大学生の9割は服装に全く興味が無さそうなんですけどね。(他国からの留学生の方がオシャレ)
話が反れましたが絵の授業です。(画像はクリックで拡大可)
 
この4枚は課題で、円柱形(cylinder)のものを10個スケッチする、というものでテーマは正確さ。
一枚に2個の物体をスケッチしたので形5枚になりました。
円柱形のものは曲線部分が難しいので鉛筆や棒を横にして角度を計りながら描きます。物体の上半分を隠して絵と比べると全然曲線の傾きが違っていたりして、そっくりそのまま物体を紙に落としこむことの難しさ、いや不可能さを感じました。当たり前ですが写真と絵は全く違うのだなと。

正確さを根気強く追求したあと、テーマがValue(明度)へ移行。
下の絵は白黒写真から鉛筆でスケッチする課題です。
最初に提出したときは白と黒の間のコントラストを十分に出し切れていなかったので、再度陰影を付け加えるよう言われました。

こうして並べてみるとまだ車のフロントガラス、ライトの左上部分は明るすぎるのがわかります。
陰影は鉛筆での「黒」なのでちょっと反射してしまうから明るく見えるというのもありますが、とはいえ写真ほど黒と白の間のバリエーションがないことも確認できます。白飛び(フラッシュや反射による強い光によって写真データに色が残らないこと。写真撮る人たちは一生懸命避ける現象)している写真でない限り、画用紙の「白」はほとんど残らないのです。

それにしても元の写真のサイズは2L、スケッチブックは9×12インチで2倍以上大きさが違うんですが、こうしてスキャンした絵と写真を同サイズに並べて見るとどれだけ形がずれているかもろにわかってしまうという…。
うーん、あからさまに歪んでいる!

イギリスの映画を観る

近くにある公立図書館はDVDが豊富。比較的最近の映画も揃っていたりするのでほくほくと借りています。日本にいるときはTSUTAYAにしろ映画館にしろ映画はお金を出して観るものだったのでこうして公共サービスで利用できるのがうれしい♪

私はイギリスの女性作家Jane Austin(wiki:ジェーン・オースティン)が大好きなので、彼女が描いた18C後半が舞台のイギリス映画は大好物。
一時期そればかり観ていたのでそのまとめ。

よく言われるようにイギリス英語はここアメリカの英語、それも南部の英語と全く別物。
発音も語彙も表現の仕方も異なるので、普段ハリウッド映画を観る以上に英語が分からない。それでもこの時代が好きなので観るのである。DVDなのをいいことに字幕を付けて何度も一時停止しては単語を調べるという手間をかけて…。「知りたい」という欲望はすごい。

ジョン・グレニスター
アイ・ヴィ・シー
発売日:2001-03-25

1972年Doran Godwin主演、ドラマで全6話。何度も映像化していて、最近でも2010年に映画化されている。
1話45分の全6話なので、オースティン得意の人間観察の妙をたっぷり堪能。
エルトン夫人という登場人物の人間の浅さがあからさま過ぎておもしろい。このころのイギリスにもこういう自分が中心にならないと気が済まない人っていたのだろうか。いやいたんだろうが。
hideous, vexatious, vain, odious, overweening, underbred, affectation, vulgar, remiss…
これ全部エルトン夫妻のつまらない人格ぶりを表すのに出てきた語彙。いつも落ち着いてわきまえていて必要以上に自分の意見を口に出さないエマがエルトン夫妻について言及するときにはボロボロにけなしてて正直で小気味よい。
それにしても主演のDoran Godwinのくせ毛具合が不思議で仕方なかった。生え際だけくるんくるん…。オースティン得意の、とりわけ美人というわけでもないけどチャーミングで聡明、という女性像にはぴったりだったが。

Adrian Shergold
BBC Warner
発売日:2008-01-15

「Persuasion」説得、という意味で、「他人からの説得によって一度は自分の決意を翻したヒロインが…」という話。控え目で誠実というオースティンとしては珍しい属性タイプのヒロインだったが、これはこれでしっくりと物語にはまっている感じがした。Bathの街並みを走り抜けるヒロイン、ここがクライマックスでしょうという見せ場。肌が抜けるように白く伏せた瞼が憂いを含んでいる…この女優さん美しすぎる。 
 
オースティン真骨頂の「高慢と偏見」はもちろんリストから外せない。言うまでもなくブリジット・ジョーンズの元ネタである。コリン・ファースがダーシーを演じている、いうなればオリジナル版を観たいけれども2カ月間ずっと貸出されている…!
いつか晴れた日に [DVD] プライドと偏見 [DVD] Pride & Prejudice (1995) (2pc) (Spec) [DVD] [Import] 

 
そしてこれが表紙にノックアウトされて借りた「The way we live now」というドラマ。リンクが見つからないので画像だけ。どうにもこのジャケットには惹かれるでしょう。こ、この女の人、なに?小さいのにこの存在感。キーパーソン?なのは間違いないけれど、…み、観たい!!

 私は初めて知ったのだがAnthony Trollope(アンソニー・トロロープ)という作家の超有名小説のドラマ化だった。1875年の初版で、これは2001年に映像化されたもの。すごくツボな話だった。

舞台はビクトリア期のロンドン上流社会。資金力にものをいわせて成り上がろうとするユダヤ人実業家を中心に、嫉妬、自尊心、見栄、浅はかさ、虚栄心などが観ていて痛々しくなるくらいつぶさに描写されている。痛烈な皮肉を幾重にも感じるけれどもどうにも憎めない人々の姿。時代は違えどもこれが人間だ…。

↓元になった小説。翻訳されてないのが残念。難しいとは思うけど読んでみようかな。
The Way We Live Now (Oxford World's Classics)
The Way We Live Now (Oxford World’s Classics)